2期連続の赤字から一転、今期は業績がV字回復している日本製鉄。ただ、先行きの厳しさも自覚する。
ほんの1年前まで赤字に苦しんだ鉄鋼大手の業績が急改善している。
2021年度上期(2021年4~9月期)決算で、国内トップの日本製鉄は2987億円の純利益をたたき出した。前期の1911億円の赤字からV字回復したばかりでなく、期初に1300億円の黒字とし、8月には2000億円へと上方修正していた業績予想も軽く上回った。
通期の純益見通しも5200億円と、8月時点のものから1500億円引き上げた。2期連続の赤字から脱却するとともに最高益を更新する。「(新日鐵住金として)統合後、最高益を狙えることを素直に喜んでいる」。森高弘副社長は決算会見でそう胸を張った。
にわかに改善した3つの理由
国内2位のJFEホールディングスも上期の純利益が1407億円と、前期の赤字から黒字転換した。通期の純益見通しは2500億円へと、こちらも今期2度目の上方修正を行った。
国内3位の神戸製鋼所も上期の純利益は325億円と、赤字だった前上期から浮上。通期の純益見通しを500億円へと引き上げた。やはり今期2度目の上方修正となる。
3社の業績を牽引したのは主力の鉄鋼事業だ。今上期の鉄鋼事業の利益は日鉄が4482億円、JFEが1585億円、神戸製鋼は124億円で、3社とも前上期に比べ大幅な利益改善となる。上期の鉄鋼事業の利益率はJFEが11.2%、日鉄に至っては15.7%と過去にない水準を記録。神戸製鋼は3.6%と見劣りするものの、16.5%のマイナスだった前上期からは大躍進となった。
長く「低迷」「苦境」といった言葉がついて回った鉄鋼事業。にわかに儲かるようになったのはなぜか。
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