
ゆあさ・まこと 1969年生まれ。東京大学法学部卒業、同大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。90年代からホームレス支援に従事、内閣府参与、法政大学教授を歴任。現在は認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長も務める。(撮影:今井康一)
「名前は聞いたことがある。貧困家庭の子どもに食事を提供するんでしょ。でも月に1〜2回で意味があるのかな」と思っている人が多いのではないだろうか。実はこうした「子ども食堂」観は一面的なうえ正確さを欠く。
──子どもの貧困対策は一部分。
子ども食堂は昨年末時点で4960ありますが、貧困対策に特化しているのは2割くらいで、残りは地域における多世代交流拠点、赤ん坊から高齢者までごちゃまぜの空間、居場所を目指しています。ある運営者の言葉を借りると「こんにちはで終わらない地域をつくりたい」。かつてあった、あいさつの後に会話が続くような地域のつながりを取り戻したいのです。
そして、にぎわいをつくったときに、そこからこぼれる人がいないようにしたい。「こぼれる人」が子どもだと、子どもの貧困対策につながる。例えば、誕生日会を知らない子がいれば、みんなで盛大に祝い、コロッケを食べたことがない子がいれば作って食べさせ、楽しい経験を積ませます。
──多世代交流が貧困対策に。
にぎわいづくりをはじめとして5つの価値が多世代交流拠点にはあり、子どもの貧困対策はその1つという位置づけです。月に1〜2回の会食で経済的貧困が解決するのかというのは、誤解に基づく批判。交流と体験によって提供されるつながりが貧困対策になる。つながりの欠如はお金よりも深刻に心の貧困に結び付くからです。
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