2017年の上場以来、右肩上がりの成長を続けてきた貸会議室大手のティーケーピー。コロナ禍が直撃し、ビジネスモデルを大きく転換しようとしている。
3月22日、東京・赤坂。首相官邸から目と鼻の先に立つ新築ビルで、大型のシェアオフィスが開業した。地上12階のうち3~6階を占めるのは、貸会議室大手ティーケーピー(TKP)のシェアオフィス子会社リージャスが運営する「SPACES赤坂」だ。
翌4月に行われたSPACES赤坂の内覧会で、TKPの河野貴輝社長は祖業である貸会議室事業からは距離を置くと宣言した。「TKP(の貸会議室)はかなり縮小させた。今後も貸会議室からリージャス(が運営するシェアオフィス)に変えられるものは、どんどん変えていく」。
付帯サービス依存の落とし穴
自前では不動産を保有せず、遊休不動産を安価に借り上げ、小分けにして時間貸しをするのがTKPの貸会議室事業の特徴だ。近年ではリージャスブランドでの小規模貸オフィスのほか、アパホテルとフランチャイズ契約を締結し、ビジネスホテルの開発・運営も行う。2019年に買収したリージャスも加わり、コロナ禍直前の2020年2月期には売上高543億円、営業利益63億円を稼ぎ出した。
ところが、外出自粛を受けて収益柱だった貸会議室の利用が急減。2021年2月期の営業利益は約25億円の赤字に転落した。止血策として不採算拠点を退店した結果、2017年の上場以来順調に拡大を続けてきた貸会議室の拠点数は、2020年2月末の246から2021年2月末には213(宿泊研修施設やブライダル施設を除く)へ初めて減少に転じた。
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