新興パネルメーカーが上場を撤回 独自技術への注目の一方、評価は分かれていた

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液晶パネルのメーカーである柔宇科技(ロヨル)は2月9日、ハイテク企業向け新市場「科創板」への上場申請を取り下げた。スマートフォン向けの折り曲げられる「フレキシブルディスプレー」の開発・製造で知られるスタートアップ企業だ。同社の説明によれば、(上場審査基準に抵触する)適格性の問題が存在する可能性があり、上場準備の一時延期を決めたという。上場により144億元(約2341億円)を調達する計画だった。

柔宇科技は独自技術が高い注目を集めると同時に、その評価が大きく分かれてきた企業である。フレキシブルディスプレーには、一度曲げた後は動かせない固定曲面型と、何度でも曲げ伸ばしできるフルフレキシブル型の2種類があるが、柔宇科技は固定曲面型を飛ばして直接フルフレキシブル型に参入した。独自開発した技術を用いることで、先発の大手を追い抜いたと自称している。

しかしパネル業界では、柔宇科技の技術力を疑問視する声が後を絶たない。同社は社外との技術交流がほとんどなく、客観的かつ専門的な評価を下せないためだ。今回の上場申請取り下げの背景も、技術の先進性が不透明で投資家への説明が不足していたことである可能性が高い。

目論見書によれば、2020年1~6月期の純損益は9億6000万元(約156億円)の赤字であり、今後も赤字が続く見通しだ。

(財新記者:何書静、原文の配信は2月10日)

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