中国の電子商取引最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は2月5日、総額50億ドル(約5300億円)に上る無担保優先社債の発行を発表した(発行日は2月9日)。同社の社債発行は4年ぶりだ。
額面金額よりも低い価格で売り出す割引債を4種類発行する。調達資金は、事業の運転資金、海外債務の返済、既存事業との相乗効果があるM&Aなどの一般用途に充てる。
アリババは2月2日に2020年10~12月期の決算を発表。決算報告書によれば、同社の20年12月末時点の資産負債比率は33.8%。債務の返済能力や資金の流動性はいずれも健全な水準だ。4年ぶりの社債発行に踏み切ったのは、アリババを取り巻く経営環境の急変が影響しているとの見方がある。
傘下でフィンテック大手の螞蟻集団(アントグループ)は、20年11月に予定していたIPO(新規株式公開)が金融当局の監督強化を受けて延期に追い込まれた。さらに同年12月下旬、独占禁止法の執行機関である国家市場監督管理総局がアリババに対する調査を開始した。
こうした動きが投資家の不安を呼び、株価が急落。対策を迫られたアリババは20年12月28日、2年前に発表した総額60億ドル(約6300億円)の自社株買い計画を100億ドル(約1兆0500億円)規模に引き上げると発表し、その原資は手元資金で賄うとしていた。
(財新記者:原瑞陽、原文の配信は2月5日)
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