世界4大会計事務所の1つ、デロイト・トウシュ・トーマツの中国法人(デロイト中国)の社員が、「放飛機(ファンフェイジー)」と隠語で呼ばれる手抜き監査の横行を内部告発した。その文書はネット上で拡散され、中国の市場関係者に衝撃を与えている。財新記者が入手した同文書には、不正の舞台として、かつて東京証券取引所に上場していた中国企業も登場。アメリカや香港に上場する中国企業を含めた財務諸表の信用性を根底から揺るがす問題だけに、日本の投資家やビジネスパーソンにとっても無関心ではいられない。
中国の会計監査の信用が揺らいでいる。
2月3日、デロイト中国の社員が、55ページにも及ぶ内部告発の文書を同僚のメールアドレスに一斉送信した。この告発者は「道徳的に超えてはならない一線」を越えた不正行為があったと指摘。告発文書は中国の会計事務所業界に瞬く間に拡散された。
それによれば、告発者が勤務するデロイト中国の北京事務所では会計事務所業界の隠語で監査の手抜きを意味する「放飛機(ファンフェイジー)」や、監査の妥当性をダブルチェックする内部監査のスキップの横行、さらには(契約先企業からの)金品の授受まであったとされる。
そんな不正行為が、ヒラの会計士からシニア会計士、シニアマネジャー、パートナーにいたるまで、全階層の関係者に蔓延しているというのだ。
NYや香港で上場する企業も書かれている
財新記者が入手した告発文書には、2020年12月31日の日付が記され、2016年から2018年にかけて不正な監査が行われたとされる10の案件が列挙されていた。
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