有人ドローンの開発企業に粉飾疑惑 カラ売り投資会社が大口顧客との虚偽契約を告発

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有人ドローンの開発・製造を手がける中国の億航智能(イーハン)に、売り上げ水増しなどの粉飾疑惑が浮上した。

2月16日、米国のカラ売り投資会社ウルフパック・リサーチが33ページに及ぶ調査リポートを公表。イーハンが大口顧客と虚偽の契約を結び、見かけ上の売り上げを膨らませていると告発したのだ。米ナスダックに上場するイーハンの株式は売り注文が殺到し、2月16日の終値は前営業日比で63%も暴落した。

問題の大口顧客である上海鵾翔智能科技は、2019年1月21日に設立された。ところが、同社がイーハンとの総額4億5000万元(約74億円)の購入契約にサインしたのは会社設立のわずか9日後だった。

さらに4カ月後、上海鵾翔智能科技は追加で3000万元(約5億円)の購入契約を結んでいる。だが同社の資本金は1000万元(約1億6400万円)で、「契約を履行できる資金力はない」とウルフパックは指摘する。そのうえ、イーハンの売掛金は、20年3月末から9月末までの半年間で7.3倍に急増した。ウルフパックは、これは虚偽契約で売り上げを水増ししたためと分析する。

こうした指摘に対して、イーハンは「ウルフパックのリポートには多数の誤り、根拠のない意見、情報の誤認が含まれている」と、全面否定する声明を出した。だがそれ以上の具体的な反論はない。

(財新記者:方祖望、原文の配信は2月18日)

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財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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