開催費用を医療機関や医療従事者に振り向けよという声があふれる。
東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪)については現在、国民の8割が開催の反対や再延期を望んでいる。本番を間近に控えながら、国民からここまで強く「NO」を突きつけられた国家的イベントは、初めてであろう。
多くの国民は忘れかけているかもしれないが、日本では10年前の福島原発事故で発出された「原子力緊急事態宣言」が今も解除されていない。そして、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」である。2つの緊急事態宣言の下で開催に突き進む姿は、あまりにも異様ではないか。
NHKが1月中旬に公表した世論調査によると、東京五輪を「開催すべき」は前月より11ポイント減の16%。他方、「中止すべき」は38%、「さらに延期すべき」は39%となり、それぞれ前月比で7ポイント増加した。およそ8割が今夏の開催を望んでいないことになる。ほかの報道機関による世論調査でもほぼ同じ数字が出ている。
コロナ禍の影響で医療や社会、経済がここまで混乱している以上、この調査結果は当然である。「『Go To』キャンペーンが強行されたり、入国管理の水際対策が甘かったりしたのは、五輪開催を前提としているからではないか」「コロナ対策の迷走も五輪の影響ではないか」──。そうした国民の懐疑もまた当然であろう。
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