2度目の緊急事態宣言によって、日本はコロナの脅威を回避できるか。公衆衛生の専門家である渋谷健司・キングス・カレッジ・ロンドン教授に話を聞いた。
──日本独自のクラスター対策について、限界があると渋谷教授は昨年3月時点から指摘していました。
感染対策の原則は早期探知・早期対応であり、そのためには検査と隔離の拡充が必須だ。クラスター対策は、症状のある集団感染が発生してから後追いの形で対応をする。「感染者の80%はほかの人に感染させない」という初期のデータを基に、クラスターにならなければ放置してよいとした。しかし、発症した段階でその感染者がクラスター発生の原因になるかどうかわからない。だからこそ、早期探知・早期対応のための検査を行う必要があった。
クラスター対策は、山火事の消火と同じだ。大きな山火事を防ぐには、ボヤの時点で消す必要がある。とくに、無症状感染を通して市中感染が広がり、ボヤが至る所で起こっている状況では、効果が限定的なのは当然だ。それどころか、追跡調査は保健所の大きな負担になっている。今でもクラスター対策に固執するのは疑問だ。
──PCR検査は十分でしょうか。
そもそも、クラスターが起こりやすい病院や介護施設で働く職員に定期的な検査が行われていない。こうした感染リスクが高いエッセンシャルワーカーには、スクリーニングとして検査が必要だ。
PCR検査を増やせば医療崩壊を招くという見方がいまだにあるが、今では軽症者は入院せずにフォローされている。逆に検査をしないから、院内感染や施設内感染が広がっている。また、偽陽性が多く出る可能性があるという科学的に誤った議論によっても検査が抑制されてきた。PCR検査は非常に精度が高く、診断のゴールドスタンダードになっている。
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