中国の国産CPU(中央演算処理装置)「龍芯」の開発を手がける龍芯中科技術は、上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」への上場準備に入った。上場審査が順調に進めば、国産CPUメーカーとして初の上場となる。
龍芯は中国において最も早い段階で開発が始まった国産CPUの1つ。プロジェクトは2001年に中国科学院計算技術研究所で始まった。10年には中国科学院と北京市政府が共同で龍芯中科技術を設立し、龍芯の普及を目指してきた。
中国では華為技術(ファーウェイ)などに対する米国政府の制裁がきっかけとなり、官公庁を中心に外国企業製のIT機器やソフトウェアを国産品に置き換える「国産代替」が推進されている。龍芯はその潮流に乗り、19年の出荷量は50万個、売上高は18年の2.2倍に増加した。
世界のCPU市場では米インテルの「x86」と英アームの「ARM」の2つのアーキテクチャーが主流を占めている。一方、龍芯は「MIPS」というアーキテクチャーを採用し、独自のエコシステムをつくり上げている。ただしMIPSの開発を続けているのは世界でも龍芯などに限られ、安定した事業基盤を維持するのは容易でない。しかしながら龍芯は中国市場でセキュリティーや製品への信頼度が高いとの評価を得ており、官公庁や軍関係の市場で優位性を備えている。
(財新記者:叶展旗、原文の配信は12月31日)
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