アフターコロナの人類の針路 日欧の知の巨人が激論|エマニュエル・トッド × 佐藤優

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(撮影:井田純代、尾形文繁)

特集「2021年大予測」の他の記事を読む

「コロナ禍は世界の本質的な変化をもたらさない」というエマニュエル・トッド氏。その深遠な理由を、日本の知の巨人・作家の佐藤優氏が聞く。

佐藤 イスラエルの歴史家であるユヴァル・ノア・ハラリ氏は、「コロナ禍で世界は大きく構造的な変化をする」と主張している。これに対し、トッド氏は「本質的な変化はない」と指摘された。

トッド コロナ禍が以前から見られていた傾向を根本から覆すことはないと述べた。物事はコロナ禍の前から変化しつつあり、コロナ禍でその変化の流れが速まっているという見方だ。流れが加速される中で、人々が自らの方向性を見失わせるような現象が生じている。例えば、エリートたちの混乱だ。彼らはコロナ禍を抑えようとしたものの、結局無力であることを露呈してしまった。彼らの混乱は、物事を制御する力を失わせ、ゆえに変化を加速させている。

とくにフランスではエリート層や大衆が混迷を来すことで、政治システムが権威的なほうへ傾くという流れを加速させた。英国ではブレグジットは中止されなかったが、自国の産業がいかにもろくなっていたかをより強く自覚した。

関連記事
トピックボードAD