2021年1月20日正午、米国で民主党ジョー・バイデン新政権がスタートする。だが、その前途は極めて波乱含みだ。大統領選挙で不正があったとして敗北を認めない共和党のドナルド・トランプ大統領は、新大統領の就任式には出席せず、フロリダ州で集会を開くことを検討中と一部メディアは報じている。24年の大統領選出馬を表明するとの観測もあるが、本当なら異例の事態だ。
式欠席だけならまだいい。バイデン次期大統領にとって実質的な意味でのリスクシナリオは、自らが目指すビジョンや政策が議会共和党やその支持者らの猛反発を受け、ほとんど実現できないことだ。勝利宣言で訴えた「米国民の団結と癒やし」にしても、脱炭素、格差是正、コロナ禍からの経済再生を同時に達成する「ビルドバックベター(よりよい復興)構想」にしても、絵に描いた餅に終わる。そうした可能性は決して小さくない。
ねじれ議会で政策停滞
それを暗示するのが、11月3日の大統領選と連邦議会選挙の結果だった。トランプ氏は負けたとはいえ、バラク・オバマ前大統領の記録をしのぐ約7400万票を獲得し、得票率は46.8%と前回(16年)を上回った。コロナ禍の逆風の中での結果だけに、トランプ人気の根強さをより深く印象づけた。トランプ氏は今後も政界に強大な影響力を保持する見込みで、共和党主流派も先々の選挙を考えれば同氏に背を向けるわけにはいかないだろう。
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