──ここでいう学術書とは?
学術的な訓練を受けた人間が、学術的な関心から物事を論じているもの。引用元やエビデンスを明らかにし、学術的な作法にのっとっていれば、新書だって学術書としていいと思います。歴史的な認識、事実の経緯、さまざまな先行研究を引用しその問題を指摘しながら、自分の議論をするのが学術の作法。決して自分が絶対ではなく、対立する見方があるのを自覚する。相手の論理を知ったうえで、「こんな議論もあるよ」と公平に紹介し、そのうえで自分の話を聞いてもらいたい。そういう姿勢がなければ、たとえ著者が学者であっても学術書とはいえないと考えます。
──学術書=難解なイメージです。
学術書と呼ばれるものの多くは、耳慣れない専門用語やデータ・図表で埋め尽くされていて、基礎知識がない読者には読みにくいのは確かです。たまにペダンティック(衒学(げんがく)的)な“悪文”でわざわざ難しいフリをした本もあります。でも粘り強く、わからない箇所はネットで調べながら、ぜひ読み進めてほしい。まったく理解不能でお手上げ、ということにはならないはずです。難しい本=噛み応えのある本と考えてはどうでしょう。スポーツ同様、知の力も負荷のかかるトレーニングで養われます。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら