博物館は“未来のため”に存在、標本はあればあるほど理想的
──動物園でキリンが死んだとか、海岸にクジラが漂着したとか、連絡が入るとすべて無条件に引き取って、標本にするんですか?
基本的に分別はせず、とりあえず標本にします。今は駆除されたイノシシが毎週栃木から送られてきて、今日は3箱。頭部だけたぶん12〜13個体。頭骨は、何歳くらいの個体がどこに棲息してるかなど、研究で使う人が多いんです。
──近辺の事故死体なんかも、電話で知らされれば拾いに行くと。
ただし犬・ネコは回収しないと決めてます。もしかしたら飼い主とか近所で餌やってる人が捜してるかもしれない。見つけたら、ちゃんと埋葬してやりたいかもしれないじゃないですか。そうだったら申し訳ないし、迷惑だから。
──この本で標本とは、骨格標本と、皮を剥いで防腐処理した後に綿を詰め、手足を伸ばして整形した仮剥製ということですね。
哺乳類の場合、骨と皮を残すのが基本です。毛皮は腐りやすいので残さない場合もあるけど、残せるものはできる限り残す。われわれが作るのは研究用の仮剥製です。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら