なぜ、いかに悪化したのか。日韓関係変容の軌跡を残す 神戸大学大学院 教授 木村 幹氏に聞く

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きむら・かん 1966年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業、同大大学院博士課程中退。神戸大学大学院助教授などを経て2005年から現職。『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』『韓国における「権威主義的」体制の成立』『日韓歴史認識問題とは何か』など著書多数。(撮影:今井康一)
歴史認識はどう語られてきたか
歴史認識はどう語られてきたか(木村 幹 著/千倉書房/3500円+税/336ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
戦後最悪とされる日韓関係。その原因は従軍慰安婦や徴用工などに関する歴史認識問題だ。なぜ歴史認識が日韓で乖離し、対立を生んだのか。その軌跡を、歴史家が丹念に追う。

──解決不可能と思えるほど、日韓関係は悪いままです。

解決をいう前に、われわれが双方の現代史をきちんと把握し、理解しているのかどうか。歴史認識とは、過去の歴史的事実そのものをめぐる問題というよりも、過去の歴史的事実をそれぞれの時代に生きる人々がどのように考え、どの部分にどのような重要性を見いだすかという問題です。この点が、きちんと理解されていません。

──確かに「そうだろう」「そうだったはずだ」といった思い込みで語られがちですね。

太平洋戦争中の問題である慰安婦問題を、「当時の人は慰安婦なんて知らなかった」として語る人がいます。戦後75年といいますが、その時間幅は奈良時代(710〜94年)とほぼ変わらず、明治維新(1867年)から太平洋戦争終結(1945年)までに匹敵する「一時代」なのです。でも、現代史なので自分たちから遠くないとの感覚があり、「知ってるよ」と安易に判断して語りがちです。

──慰安婦への日本軍の関与を認めた93年の「河野談話」の是非が問題になることがありますが、その実、河野談話で何が語られたのかは知られていません。

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