──解決不可能と思えるほど、日韓関係は悪いままです。
解決をいう前に、われわれが双方の現代史をきちんと把握し、理解しているのかどうか。歴史認識とは、過去の歴史的事実そのものをめぐる問題というよりも、過去の歴史的事実をそれぞれの時代に生きる人々がどのように考え、どの部分にどのような重要性を見いだすかという問題です。この点が、きちんと理解されていません。
──確かに「そうだろう」「そうだったはずだ」といった思い込みで語られがちですね。
太平洋戦争中の問題である慰安婦問題を、「当時の人は慰安婦なんて知らなかった」として語る人がいます。戦後75年といいますが、その時間幅は奈良時代(710〜94年)とほぼ変わらず、明治維新(1867年)から太平洋戦争終結(1945年)までに匹敵する「一時代」なのです。でも、現代史なので自分たちから遠くないとの感覚があり、「知ってるよ」と安易に判断して語りがちです。
──慰安婦への日本軍の関与を認めた93年の「河野談話」の是非が問題になることがありますが、その実、河野談話で何が語られたのかは知られていません。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら