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『リベラリズム 失われた歴史と現在』 『働き方改革の世界史』『世界の美しい住宅』ほか

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歴史たどり、用語の混乱整理 本筋は米国流の革新主義
評者/関西大学客員教授 会田弘継

『リベラリズム 失われた歴史と現在』ヘレナ・ローゼンブラット 著/三牧聖子、川上洋平、古田拓也、長野 晃 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] Helena Rosenblatt 1961年生まれ。米コロンビア大学から博士号取得。ニューヨーク市立大学教授。歴史学、政治学、フランス学専攻。著書に『ルソーとジュネーヴ』『リベラルな価値』、共編著に『フランス・リベラリズム』『ルソーとともに考える』など。

リベラルって何、と改めて問われると、はたと困ってしまう。自由主義者を指すのだろうが実は革新派だ。日本の政界を見渡すと、党名に自由を冠する与党にはリベラルを堂々と名乗る人は少なそうだ。むしろ保守を掲げる。リベラルを名乗るのは野党で、旧社会党系に多い。でも社会主義は自由だろうか。

これはどうも本家本元の欧米での混乱を映しているようだ。米国では民主党、中でも社会主義を標榜するサンダース上院議員のような人が、とてもリベラルなのだ。

本書は、リベラリズムをその言葉の発生からひもとき、その発展の歴史を丁寧に解きほぐし、こうした混乱の理由を明らかにしてくれる。目からウロコの説明があふれる。その過程を通じて、真のリベラリズムとは何かを探り、その活性化を訴える。

リベラルという言葉が意味したのは、古代ローマ時代から、つい19世紀半ばまで「与えることを惜しまない寛容さ」だった。本書で議論するようなリベラリズムという複雑な「一群の思想」が生まれたのは、フランス革命とその後の同国の混迷期である。本書では「リベラリズムは英米の伝統」という漠然とした常識は覆される。

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