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『コロナ危機の経済学 提言と分析』 『米中「新冷戦」と経済覇権』ほか

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デジタル化、働き方、医療… 奇貨とし、新たな日常構築へ
評者/BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

『コロナ危機の経済学 提言と分析』小林慶一郎、森川正之 編著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] こばやし・けいいちろう 東京財団政策研究所研究主幹など。東京大学大学院工学系研究科修了、米シカゴ大学Ph.D.。
もりかわ・まさゆき 一橋大学経済研究所教授、経済産業研究所所長。東京大学教養学部卒業、経済学博士(京都大学)。

本書は、日本を代表する25人の経済学者が自らの専門分野について分析と政策提言を行ったものだ。

菅新首相はデジタル庁の創設を自民党総裁選挙で訴えたが、本書もコロナ禍で露呈したデジタル化の遅れの解消を第1に掲げる。オンライン教育は不十分で、一斉休校によって人的資本の蓄積が滞った。何とかオンライン診療は可能となったが、あくまで特例措置にとどまる。対面診療よりも診療報酬を高めにして、定着を促すべきだろう。

本来、困窮する家計に手厚く現金を給付すべきだが、国民の所得情報を政府がデジタルで把握していない。結局、リーマンショック時の定額給付金と同様、迅速さを重視し、富裕層を含め国民全員に支給した。配られた資金の一部は預金に今も滞留する。10年に一度の頻度で経済危機が襲うのだから、困窮する家計を集中的に支援する政策インフラの整備が不可欠だ。所得情報のみならず、全ての金融資産もマイナンバーにひもづけて把握すべきだろう。

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