天国から地獄へ。緊急事態宣言解除から半年経つが、復調の兆しは見えない。
「街に人が来ない。賃料を下げても問い合わせが来ない」。東京・銀座でオフィスや店舗を仲介する銀座オフィスセンターの尾又啓一営業本部長はこぼす。
一等地のたそがれ
緊急事態宣言解除からもうすぐ半年。国内屈指の一等地の人通りは今も元に戻っていない。国内買い物客、ビジネス客、訪日旅行客。「みんな消えた。三重苦だ」。都内で店舗仲介を手がける日本テナントサービスの早稲田摂生代表取締役は話す。「こんなによい立地なのに、という区画でも空いている」。
苦境の原因は訪日客の減少だけではない。米不動産サービス会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの須賀勲エグゼクティブ・ディレクターは、「国内の買い物客は複数の店舗での買い回りをせずに、目的地にだけ行って帰ってしまう。ビジネスマンも大人数での宴会が制限され、経費を使った外食がしにくい」と指摘する。
コロナ禍以前、商業施設は好立地であればほかの不動産をしのぐ収益を生んだ。周辺相場に縛られやすいオフィスや住宅と異なり、人が集まり売り上げの立つ場所なら、飛び抜けた賃料でも成約できた。だが、今は様変わりした。
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