コロナ禍で評価が一変した街が2つある。1つはスタートアップの聖地から一転して、「オフィス不要論」の代名詞とされた東京・渋谷だ。オフィスビル開発に勤しむデベロッパーを尻目に、身軽で意思決定の速いスタートアップはテレワークに移行する。
もう1つは、東京・竹芝だ。元々は港湾の倉庫街で、用がなければ踏み入れることのない街だった。それがこの9月、最先端テクノロジーを活用したスマートビルが誕生し、便利さに加え非接触・非対面という感染予防策が徹底されたビルとして脚光を浴びた。
明暗分かれる2つの都市。いずれの開発にも関わったのが東急不動産である。コロナ禍で働き方が一変した今、どんなオフィスが必要とされるのか。岡田正志社長に聞いた。
テレワークのマイナス面が整理されていく
──テレワークが急速に普及しています。
3密状態の回避を除けば、働き方改革やテレワークの流れはコロナがなくても進んでいた。今のような状況は5年、10年先に訪れていたはずだ。今はテレワークのいい面が強調されているが、これからマイナス面も整理されていく。
極端に言えば、新入社員の頃から社内の同僚を誰も知らないままの状態で仕事ができるだろうか。事務作業なら可能かもしれないが、自分が所属する組織をみんなで成長させよう、社会的に意義のある事業をしようという機運は高まらないのではないか。逆に、対面でのコミュニケーションの大切さやオフィスという場所があることの意義が見直されてくる。テレワークの揺り戻しは間違いなく来るだろう。
──とはいえ、おひざ元である渋谷区では、オフィス空室率が上昇しています。
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