──野郎どももおっさんになった。
1977年にポール・ウィリスが著した『ハマータウンの野郎ども』は、中卒で働き始める労働者階級の少年たち=野郎どもの価値観を、フィールドワークを通して明らかにしました。体を使う男の仕事、ブルーカラーの仕事をするのがリアルな人生で、俺たちはそれを生きる──。ウィリスはこれを階級の再生産と指摘していて、野郎どもと同年代の配偶者やその友人の価値観は同じ。それを維持しながら大きくなっています。
私自身もその価値観を共有しています。父親は土建業で私も保育士。身体的にきつくて賃金は安いけど、それが仕事と思っている。今でこそ文章を書いたりしゃべったりして稼いでいますが、どこかで「これは本当ではない、こうして得たお金はあぶく銭」みたいな(笑)。
──ホームレスを家に泊める話などからは連帯感の強さを感じます。
ここにいたら凍死しちゃうから連れて帰ろうなんて、日本じゃないですよね。でも、失業したら失業保険が払われ、ケガをしたらタダで治療を受けられるなど、社会に守られてきた人たちは、ほかの人にも優しくなれるのです。
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