おっさんは何に怒っている?「相手の靴を履いてみる」 ライター、コラムニスト ブレイディみかこ氏に聞く

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ぶれいでぃみかこ 1965年生まれ。福岡県立修猷館高校卒業。音楽好きが高じて、96年から英ブライトン在住。保育士資格を取得し「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。視点を地べたに置くのが信条。著書に『子どもたちの階級闘争』など。
ワイルドサイドをほっつき歩け --ハマータウンのおっさんたち
ワイルドサイドをほっつき歩け --ハマータウンのおっさんたち(ブレイディみかこ 著/筑摩書房/1350円+税/256ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
中学生である子息の日常を軸に英国社会を描く『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。並行して書かれた本書の主人公は配偶者の世代だ。新自由主義に押され、しょぼくれ気味の男を見つめるエッセー集。

──野郎どももおっさんになった。

1977年にポール・ウィリスが著した『ハマータウンの野郎ども』は、中卒で働き始める労働者階級の少年たち=野郎どもの価値観を、フィールドワークを通して明らかにしました。体を使う男の仕事、ブルーカラーの仕事をするのがリアルな人生で、俺たちはそれを生きる──。ウィリスはこれを階級の再生産と指摘していて、野郎どもと同年代の配偶者やその友人の価値観は同じ。それを維持しながら大きくなっています。

私自身もその価値観を共有しています。父親は土建業で私も保育士。身体的にきつくて賃金は安いけど、それが仕事と思っている。今でこそ文章を書いたりしゃべったりして稼いでいますが、どこかで「これは本当ではない、こうして得たお金はあぶく銭」みたいな(笑)。

──ホームレスを家に泊める話などからは連帯感の強さを感じます。

ここにいたら凍死しちゃうから連れて帰ろうなんて、日本じゃないですよね。でも、失業したら失業保険が払われ、ケガをしたらタダで治療を受けられるなど、社会に守られてきた人たちは、ほかの人にも優しくなれるのです。

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