──「漢語」とは、「漢字を使った熟語」ということですか。
厳密に言うと、漢字を「音読み」した言葉です。中国での漢字の読みを日本人の耳で聞いて、日本式に取り入れたのです。例えば、「入口」は日本では訓読みで「いりぐち」と言いますが、音読みで「にゅうこう」とは言わない。これは、古い日本語の「いる」と「くち」が合わさった和語です。
──中国から来たものだろうと漠然と思うくらいで、日頃はその言葉の由来まで考えません。
そうでしょう。そこで読者の関心を著者のほうからかき立ててみたいと考えたのが、本書を執筆した動機の1つです。
日中双方は長い交流を続けてきましたが、漢語のでき方は実は同じではありません。漢字表記を共通にする言葉である「日中同形語」の作られ方には、時代や人の往来などさまざまな要因があります。とくに近代になってできた漢語の中には、日本と中国のどちらでできたものかよくわからないものがあります。
日本人が作った漢語が中国で使われるケースも
──そういった漢語は、日中をどのように往来したのでしょうか。
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