告発者の死に中国世論は沸騰、ほころぶ「習一極」体制 新型肺炎の急拡大で当局への批判が高まっている
揺らぎ始めた習近平氏の権力基盤。
中国の武漢で原因不明の肺炎が流行している──。2019年12月に新型肺炎についての注意喚起を最初に行った地元の眼科医、李文亮氏が2月7日、肺炎で亡くなった。
まだ30歳代だった医師の訃報に中国の世論は沸騰した。中国の経済メディア「財新」によるインタビュー記事で、李医師が当局に「デマを流した」として処罰された経緯が知られていたからだ。
武漢市当局が速やかに人から人への感染を認め、対策を取っていれば、ここまで感染は拡大しなかった、という批判は強い。李医師の死が、それに拍車をかけた格好だ。中国政府は、事態悪化の責任を武漢市に負わせることで沈静化を図ろうとしている。
1月31日には武漢市のナンバーワン、共産党委員会書記である馬国強氏が国営中央テレビ(CCTV)の番組に引っ張り出された。
こうした地方政府の不手際の場合、一般的には行政のトップ(武漢市の場合は市長)が責任を取らされ、その上位に立つ党委書記は表に出てこないことが一般的だ。中国のすべてを指導する党は全能無謬の存在で、失敗があってはならないからだろう。
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