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「確信を持ってマイクロソフトの変革に取り組んだ」 サティア・ナデラCEOが呼び戻したキーマンに聞く

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「業界の流れから取り残されないためには、新たなビジネスモデルを自ら持っておく必要がある」と強調したデルベーン氏(撮影:尾形文繁)
パソコン用OS(基本ソフト)の「ウィンドウズ」やビジネスソフト「オフィス」で世界を席巻し、ITバブル期に株式時価総額で世界トップに君臨したマイクロソフト。だがスマートフォンの急速な普及で発展したモバイルコンピューティングの世界では、アップルやグーグルなどアメリカの競合他社に大きな遅れを取った。
しかし2014年にサティア・ナデラ氏がCEOに就任して以降、クラウド事業が急成長。株価も右肩上がりで、時価総額は今や1.2兆ドルと世界トップ3の一角だ。そんなナデラ氏の右腕として経営戦略や社内のIT変革を担ってきたのが、エグゼクティブ・バイス・プレジデントのカート・デルベーン氏だ。
いったんはオバマ前大統領の医療保険制度改革(通称・オバマケア)の中核となるウェブサイトの責任者になるために退社したが、ナデラ氏に請われ、再びマイクロソフトに戻ってきた。クラウドビジネスへの激動の移行期に、社内をどう指揮したのか。来日したデルベーン氏に話を聞いた。

――マイクロソフトを変革しなければならないという危機感を駆り立てたのは、何だったのですか。

変革が最初に始まったのはだいたい15年くらい前のことだ。当時私は「オフィス」部門の責任者だった。サーバーやデスクトップにあるソフトウェアが徐々にクラウドへと動いているのを目の当たりにした。これが変革のきっかけだったと思う。

マイクロソフトはつねに自分たちの現在地を見極め、業界のトレンドに注目し、未来がどうなるかを考えている。説得力のあるビジョンを掲げ、それに向かって目標を設定する。提案できる価値を著しく高めるには、クラウド化が必要だった。

当時私がオフィス事業を率いる一方、現在CEOを務めるサティア・ナデラは(データベース言語の)SQLやウィンドウズサーバーといったサーバーのソフトウェア開発の責任者で、彼も同様の変化を感じていた。そうした中でビジネスモデルの転換をしていくことを決心し、現在展開するクラウドインフラサービス「アジュール」が生まれた。

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