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4つの「つまずき」に要注意、統計は疑うことから始めよう 応用レッスン2|データを正しく把握する

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重要性を増す統計データ。だが真実を映しているとは限らない。

印象に惑わされない分析力をつけよう(写真は池袋の事故現場)(EPA=時事)

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官庁などが系統的に収集・公表する統計データは、正しく読み取ることができれば、世の中の実情を明らかにしてくれる。ところが、いくつかの要因につまずいてしまい、読み間違えて真実から遠ざかってしまうことも少なくない。ここではありがちな4つのつまずきを紹介する。正しくデータを読解する際の参考にしてほしい。

1. 年齢バイアス|高齢化の影響を考慮せよ

1つ目のつまずきは、「年齢バイアス」だ。日本では急速な高齢化が進行し、高齢化率は世界一となっているため、データもこの影響を受けやすい。

実例として高齢ドライバーの死亡事故件数を挙げよう。今年4月に東京・池袋で高齢者ドライバーの暴走事故が発生するなど、運転能力の衰えた高齢者が引き起こす交通事故は増える一方であるという印象を抱く人は少なくないと思う。自らの運転能力を過信して免許を返納せず深刻な事故を引き起こす高齢者の身勝手さを非難する声も大きくなっている。

では統計データは何を語るのか。警察庁はドライバーの年齢層別に死亡交通事故の件数を公表している。この10年間の変化を追うと、2016~18年平均と06~08年平均(10年前)を比べて、60歳以上の高齢ドライバーによる死亡交通事故の件数はあまり変わっていないが、非高齢者による事故件数が急減している(下図①)。そのため、全体に占める60歳以上の高齢者の割合は増えている(下図②)。高齢者の事故件数があまり変わっていないのは、少子高齢化によって若い世代のドライバーが減少している一方、高齢ドライバーの数が増えているのが要因だ。

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