東芝が半導体事業に大ナタ、競合サムスンに生産委託
2年越しの課題に一応のメド--。東芝は長らく懸案となっていた、半導体部門の改革を発表した。
内容は二つ。一つはシステムLSI事業の再編だ。回路線幅40ナノメートル以降の最先端品は、2011年度から韓国サムスン電子など複数のファウンドリー(製造専門会社)に生産を委託、自らは設計に特化する。
製造設備を持たないファブレス型へと転換することでコストを下げ、景気変動に強い体質を築くのが狙いだ。
LSIとは家電製品や自動車の電装品を制御する機能を組み込んだ半導体。国内のLSIメーカーは顧客の最終製品に合わせて個別に設計してきた経緯があり、多品種少量による効率の悪さから慢性的な低収益体質に陥っていた。
片や世界の半導体業界では自前ラインを持たずに生産は外注、自社は世界標準を握れる汎用度の高い製品の開発に特化し、得意分野でシェアを取る戦略が一般的だ。遅ればせながら東芝の改革も、この流れに沿ったものといえる。
特に話題をさらったのが、生産委託先がNAND型フラッシュメモリ(携帯電話などの記憶媒体に使われる半導体メモリ)で競合関係にある、韓国サムスン電子だったこと。
東芝によれば「サムスンはあくまで委託先の一つ」だが、不振のLSI事業についてはある程度の見切りをつけざるをえなくなった。一方のサムスンは、米アップル向けの供給などをテコに、メモリに加え後発のLSIも強化中で、東芝という新規顧客を獲得したことで拡大に一段と弾みがつく。実に対照的だ。