11月11日、第1次世界大戦終戦から100年の記念式典でフランスのマクロン大統領は次のような演説を行った。「ナショナリズムは愛国心を裏切るものだ。(中略)自分の利益が第一で、他者は二の次だと言うことによって、最も重要な道徳的価値観というものを、われわれは消し去っている。(中略)孤立、暴力、あるいは支配によって平和への希望をくじくことは間違っている。そんなことをすれば、当然のことながら、未来の世代の人たちはわれわれにその責任があると考えるだろう」。
民主政治の劣化が世界的に進む現状への強い危機感が、マクロン演説には表現されている。ナショナリズムと愛国心(patriotism)の区別は、日本人にはわかりにくいだろう。マクロンの言うナショナリズムとは、自国の権益をなりふり構わず追求し、世界の秩序を揺るがす態度であり、愛国心とは自分の属する国の政治に参加し、よりよい社会を作り出そうとする能動的な態度である。トランプ米大統領に代表されるナショナリズムが、国家を単位とする従来の民主政治を機能不全に陥らせているとマクロンは主張した。トランプはこれに反発し、かえって国際協調の難しさを世界に印象づけた。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら