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刑務所新聞が語るもの なぜ囚人は書くのか

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刑務所でのジャーナリスト育成プログラムに参加した筆者。囚人たちの育った環境を知るにつれ、米国社会が抱える負の一面を垣間見た。

9月末の卒業式。さまざまな人種の記者が新聞に参加し、記事を通して問題意識をぶつけている

数週間前、特別な卒業式に出席した。場所はカリフォルニア州のサンクエンティン州立刑務所。ここに投獄されている十数人がジャーナリズム入門講座を終え、修了証書を受け取った。

講座の目的は、囚人に訓練を施し、刑務所で発行されている月刊新聞サンクエンティン・ニュースで記者を務められる人物を見つけ出すこと。同紙の発行部数は3万部で、カリフォルニア州内35の刑務所に届けられている。全米で3紙ある刑務所新聞の一つで、囚人が直接編集し、発行している新聞としては唯一の存在だ。

サンクエンティンで教え始めたのは2年半前。ほとんど思いつきというか、好奇心から出た行動だった。刑務所については、人並みの知識は持っていた。米国は世界で最も囚人の数が多く、10万人当たり700人を超える米国人が刑務所に入っている、といったようなことだ。だがそれ以上のことは、よく知らなかった。

サンクエンティンは1852年、犯罪が蔓延していたゴールドラッシュ時代に作られた。今日では、725人の死刑囚を収容する(ただし、カリフォルニア州では2006年以降、死刑は執行されていない)。死刑囚のほかには約3000人が投獄されており、多くが終身刑だ。

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