関西国際空港の蹉跌 LCCの要衝
LCCの相次ぐ就航で急成長した関西国際空港。だが、海上空港ゆえの弱点が露呈した。
9月4日、非常に強い勢力を保ったまま近畿地方に上陸した台風21号は、関西国際空港を直撃した。高潮で滑走路や施設が浸水し、空港としての機能が停止。さらに空港島と対岸のりんくうタウンを結ぶ連絡橋にタンカーが衝突し、道路の片側車線と鉄道の線路が不通となった。
この日空港内にいた旅客や空港職員など約8000人が取り残され、不安な一夜を過ごした。バスやフェリーで旅客全員が脱出できたのは、翌5日の深夜だった。
関空が開港したのは1994年。伊丹(大阪国際)空港の騒音問題などを受け、旅客便、貨物便の両方で24時間運用を可能にすべく、空港すべてが人工島から成る世界初の海上空港として建てられた。A滑走路と第1ターミナルビルのある1期島と、B滑走路と第2ターミナルビルのある2期島(2007年完成)に分かれている。
ただ、海上空港ゆえの課題も多かった。関空は水深18メートルの軟らかい地盤の上に建てられており、開港当初から地盤沈下のおそれが指摘されていた。1期島はこれまでに3メートル強沈み、今も年間約6センチメートルのペースで沈下している。
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