通常国会が終わり、政界は秋の自民党総裁選挙に向けて動き始めた。各派閥の支持によって議員票を固めた安倍晋三首相の3選は堅いというもっぱらの見立てである。
ところが、通常国会の審議を通じて、働き方改革関連法における厚生労働省のデータ問題、防衛省の日報問題、森友・加計学園問題が次々と噴出し、政権が行政を掌握できなくなってきたことが徐々に明らかになった。また政権は発足以来、危機管理に長けていたはずだが、西日本豪雨の最中に、安倍首相をはじめ幹部らが「赤坂自民亭」で緊張感に欠ける姿をSNSでさらしたうえ、甚大被害であるにもかかわらず対策本部の設置が遅れるなど不手際を露呈した。
そのうえ、参議院制度改革では、定数の6増という、議員数を制限するはずの従来の自民党の方針に真っ向から反する案を突如自民党が出し、採決を強行するなど、国会対策も惨憺(さんたん)たるものであった。
総裁選では、数の面で劣勢とはいえ、石破茂元幹事長が立候補を表明し、野田聖子総務相も立候補に前向きである。両名とも、政策構想を著作にまとめている。政策論争が真剣に行われることになりそうである。元来、当意即妙の議論が得意ではない安倍首相はどう渡り合うのか。そもそも安倍首相にとって3期目の政策とは何なのか、といった問題に関心が向かいつつある。
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