グーグルの独禁法問題は対岸の火事ではない 第1回 マイクロソフト重鎮が語る「規制論」
7月18日、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、米グーグルがスマートフォンOS「アンドロイド」に関する端末メーカーとの契約などでEU競争法(独占禁止法)に違反したとして、43億4000万ユーロ(約5700億円)の制裁金を支払うよう命じた。グーグルがメーカーに対し、自社のアプリストアをプリインストールすることの条件として検索アプリやブラウザーの“抱き合わせ”搭載を求めていたなどして、自社サービスを不当に優遇したと欧州委は判断した。
世界的企業に成長した米IT大手に対する逆風が今、強まっている。SNS最大手の米フェイスブックは今年3月に個人情報流出問題が発覚し、対応に追われた。マーク・ザッカーバーグCEOが米上下両院の公聴会で議員から糾弾される事態となったのは記憶に新しい。
一方、いち早く各国政府との係争を経験したのが、1990年代に独禁法違反の疑いでやり玉に挙げられた米マイクロソフトだ。1998年、米司法省はマイクロソフトがPCのOS「ウインドウズ」にブラウザー「インターネットエクスプローラー」を同梱したことにより、他社製ブラウザーを競争から排除したとして提訴した。2000年には連邦地裁がOS部門とそれ以外の部門に会社を「分割すべき」と命令を下したが、連邦高裁がその後差し戻し、2001年11月に司法省とマイクロソフトの和解が成立した。
米国だけでなく、マイクロソフトは欧州や日本、韓国などでもさまざまな案件で競争当局と争った。一連の係争で当局との交渉役を務めたのが、米国本社プレジデント兼最高法務責任者のブラッド・スミス氏。1993年の入社以来約25年間、一貫して法務の第一線で活動してきた。数々の“修羅場”を経験してきたスミス氏の目に今のIT業界はどう映るのか。7月上旬に来日した同氏を直撃した。
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