G7の結束の乱れと中国の台頭という不安定な世界情勢において、日本は中国とどう付き合えばいいのか。参考になるのはドイツのメルケル首相の対中外交姿勢だ。
6月8〜9日にカナダ・ケベック州にて開催されたG7(先進7カ国)シャルルボワ・サミットは、米国による鉄鋼の輸入制限措置をめぐって紛糾し、閉幕後にトランプ米大統領が首脳宣言の承認を拒否するなど、大荒れの結果となった。鉄鋼・アルミニウムに輸入関税を発動し、自動車にも25%もの追加関税を課すという自国優先の措置にこだわる米国と、それ以外の国との対立があらわになり、G7というよりG6+1ではないか、と揶揄する声も聞かれた。
トランプ政権はこれに先立ち、通商拡大法232条に基づいて中国からの鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に踏み切っている。このほか通商法301条を盾にした中国企業への制裁など一連の米中貿易摩擦を通じて、中国政府が自由貿易の原則を訴え、トランプ政権の保護主義的な政策を批判する、という構図が明確になってきている。
このことを象徴するのが、G7サミットとほぼ同時期に山東省青島市で開催された上海協力機構(SCO)の首脳会議だった。6月10日に採択された共同声明では、WTO(世界貿易機関)のルールにのっとった多角的な貿易体制を支持することがうたわれ、中国をはじめとした参加国の保護主義への警戒姿勢が鮮明になった。では今後、米国以外の「G6」は、中国こそが「自由主義」の原則に立つ大国と見なし、共同歩調を強めていけばよいのだろうか。
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