歴史的な出来事となった6月12日の米朝首脳会談。その背後では、北朝鮮を交渉カードに使おうとする、大国間の駆け引きが繰り広げられていた。
2018年6月2日、トランプ米大統領はツイッターで「貿易戦争に負けるわけにはいかない」と述べた。トランプ大統領は、すでに貿易戦争が始まっているという認識を示したのだ。そして、負けてはならない相手は中国である。
トランプ大統領は、中国に対して経済的圧力を強めている。米国通商代表部(USTR)は、「知的財産権の侵害」を理由に中国を世界貿易機関(WTO)に提訴し、米通商法301条を発動する予定だ。発動されれば、中国から米国に輸出される約1300品目に25%の関税を上乗せすることになる。
また、米国は中国の通信機器大手の中興通訊(ZTE)に対して取引禁止措置を取り、同社は倒産の危機に陥った。同じく通信機器大手の華為(ファーウェイ)技術には、米司法省が違法輸出の疑いで捜査を始めている。
こうしたトランプ大統領の対中経済的圧力によって、米中の経済力・技術力の差が、中国国民の目にも明らかになってしまった。中国が経済的に米国に追いつくのを米国が容認せず潰しにかかる、というのは中国共産党指導部が一貫して警戒してきた事態である。それが現実のものとなるように見える。
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