6月12日にシンガポールで、史上初の米朝首脳会談が開かれる。米国の専門家は長年の北朝鮮ウォッチから、何らかの肯定的な成果の可能性を見ている。
北朝鮮に拘束されていた米国籍の3人が解放され、米朝首脳会談の開催地がシンガポールに決定されるなど、米朝対話のお膳立ては着々と進んでいる。
筆者はこの大型連休にワシントンDCを訪れ、多くの専門家と意見交換をした。彼らの米朝会談への見通しは、われわれ日本人よりも肯定的だった。もちろん米朝会談によって北朝鮮の核・ミサイル開発が一気に終結すると考える専門家はいない。これまでの米朝の複雑な経緯に加え、金正恩(キムジョンウン)委員長とトランプ大統領それぞれの思惑という、不確定要素があるからだ。
一方で、今回の会談が肯定的な結果をもたらす可能性をゼロと見る専門家は皆無だった。印象的だったのは、かつて政府で北朝鮮政策に関係した現実路線の安全保障専門家の一人が、肯定的な結果となる可能性を30%という数字で表現したことだ。筆者を含め一般の日本人の期待値はせいぜい10%以下ではないだろうか。
米国人は、グラスの水を「まだ半分ある」と見る傾向があり、同じグラスでも日本人が「もう半分しかない」と見るのと同じようなものかもしれない。この文化的差異を差し引いても米国では米朝会談は日本より楽観的に受け止められていた。
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