はまぐち・のぶあき●神戸大学経済経営研究所教授。米ペンシルベニア大学大学院地域科学研究科博士課程修了。神戸大学経済経営研究所長などを経る。
かめやま・よしひろ●佐賀大学経済学部教授。東京都立大学大学院都市科学研究科博士課程単位取得後退学。国際東アジア研究センターなどを経る。
多様性がもたらす規模の経済に代わる集積力
評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
1933年の三陸沖津波。被災地の人口は一時的に減少したが、豊かな自然資源を背景に、人口流入が再開し、短期で復興を遂げた。だが今回は、7年が経過した今も思うように復興は進んでいない。東日本大震災は人口減少時代で初めての大災害だったのだ。
本書は、成長の源泉となる都市や産業への集積がいかに生じるかを分析する空間経済学という新しい分野の世界的権威が、理論を応用し、復興の処方箋を論じたものだ。地震列島であるがゆえ今後も起こり得る大規模災害からの復興という視点と、今後の急激な人口減と超高齢化の下で一国経済全体としての復興という二つの視点で解決策を探る。
被災地は、多くの地域と同様、団塊ジュニアの流出と共に90年代に人口減が始まり、2000年代には東京への一極集中を背景に人口減が加速していた。日本が人口拡大期にあるのなら、規模の経済でダメージを修復する集積のメカニズムが自生的に働く。しかし、このままでは、さらなる人口流出は避けられない。
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