深刻化する生活苦、谷間に落ちた被災者 東日本大震災から7年
在宅被災者、1人親世帯…。復興から取り残された人々の現実。
いてつく寒さが続く宮城県石巻市。一人暮らしの高齢男性の自宅を、ボランティアが訪ねた。
「わずかですけど、受け取ってくださいね」
東日本大震災発生以降、7年近くにわたって被災者支援を続けている「チーム王冠」の伊藤健哉さんが、津波で被災した自宅で暮らす佐藤悦一郎さん(74)にコメを手渡した。
「いつもありがとうございます。これで何とか空腹をしのぐことができる」
佐藤さんはこう言って頭を下げた。
医療費免除打ち切り
佐藤さんは仮設住宅に入居せず、壊れた自宅を応急修理して住み続けている「在宅被災者」の一人だ。
だが、生活は厳しい。自宅の修理は不完全で、台所の床は腐りかけている。年金だけでは生活費を賄えない月が多く、義援金のみならず、貯金も使い果たした。
地震直後にタンスが倒れて両ひざを負傷。一時は歩くことも困難になった。医者知らずだった佐藤さんは、震災後、糖尿病や高血圧、難聴などさまざまな病気を発症。現在、4カ所の医療機関に通い、毎日12種類の薬を飲み続けている。
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