取り残された被災弱者たち 東日本大震災から4年
被災地には、現在もなお住宅再建がままならない人々がいる。津波浸水区域に残り、生活再建に奔走する人々の姿を追った。
温暖な気候、「仙台いちご」の産地として知られる宮城県南部の山元町(やまもとちょう)で、東日本大震災から4年が経つ現在も、津波で全壊の被害を受けた自宅の修繕を続けている男性がいる。砂金(いさご)政宏さん(53)がその人だ(下写真)。
4年前の3月11日、太平洋から押し寄せてきた津波は築36年の自宅2階まで達したが、たまたま付近の民家にぶつかって水の勢いが弱まっていたために運良く流失を免れた。
だが、自宅の修繕は困難を極めている。当初、工事業者に見積もりを依頼したところ、1500万円以上かかると言われた。「そんな大金はない」という砂金さんは一念発起して、自力での修繕を決断。ホームセンターで工具や材料を買いそろえ、インターネットで修繕の仕方を勉強した。サッシは、自宅を解体する近隣住民から分けてもらった。
76歳になる母親を隣町の借り上げ住宅(みなし仮設住宅)で介護しながらの自宅の再建は悪戦苦闘の連続だった。山元町は、砂金さんが住む浸水区域へのボランティアの立ち入りを半年にわたって禁止したため、がれきの片付けやヘドロのかき出しは一人でやらざるをえなかった。
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