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壊れたままの家 人が戻らない街 住宅再建の遅れが深刻な問題
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東日本大震災の被災地では現在、住宅再建の遅れが深刻な問題になっている。住まいを失った被災者に提供される災害公営住宅の建設の遅れや高台移転の難航は、報道を通じてよく知られるようになっている。これとは別に、修繕もままならず、壊れた自宅で暮らす人も少なくないことがわかってきた。
石巻(いしのまき)市で豆腐店を営んでいた男性(74)の自宅は震災で雨漏りがひどくなり、自宅内にブルーシートを敷き詰めて雨風をしのいでいる(下写真)。家屋被害の程度が比較的軽い「半壊」の判定だったために、当初、災害救助法に基づく応急修理制度(当時の上限52万円)しか利用できず、トイレを直しただけで予算を使い切ってしまった。

雨漏りがひどく、ブルーシートを敷き詰めた住宅(石巻市)
石巻市が2013年度に新たに設けた住宅再建事業では、補修補助(上限100万円)の対象になるものの、現在の仕組みでは、いったん工事費の全額を支払ったうえで、かかった費用の半分を自分で負担する必要がある(2分の1補助)。だが、この男性は「おカネがないので修繕できない」と話す。男性は震災を機に豆腐店を廃業し、現在は月に8万円強の年金だけで生活している。
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