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『ゲーム理論はアート』 『ザ・ファースト・ペンギンス』ほか

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ゲーム理論はアート  社会のしくみを思いつくための繊細な哲学
ゲーム理論はアート 社会のしくみを思いつくための繊細な哲学(松島 斉 著/日本評論社/2000円+税/280+14ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
まつしま・ひとし●東京大学大学院経済学研究科教授。専門はゲーム理論。1988年同大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。2002年から現職。理論経済学で最大の国際学会であるエコノメトリック・ソサエティの終身会員(フェロー)。

自由な選択を可能にする理論装置を提供する

評者 北海道大学大学院経済学院教授 橋本 努

社会の制度設計のために、最近のゲーム理論がどのように役立っているのかをわかりやすく述べた好著である。

経済学を含めて従来の社会科学は、未来をできるだけ正確に予測しようとしてきた。これに対してゲーム理論は、正反対の発想をする。未来を予測すると、今度はその予測に人々が反応してしまうので、当初の予測は役立たなくなる。だから予測は確率論的に与えるにとどめて、別の方法で資源配分を最適化しようというのである。

たとえば米国では、テロリストの攻撃から主要空港を守るために、ゲーム理論が応用されている。テロ攻撃による「期待死者数」を最小化すべく、どの空港をどの程度警備するかについて、アルゴリズムを使って最適化するという。実際に人間の頭で計算するのではなく、コンピュータに任せて警備員を最適に配備する。いまやゲーム理論は、新たな制度デザインを提案するアートの役割を引き受けている。前例を重んじる悪しき官僚主義を打破するツールになるというわけだ。

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