来年4月から一部で先行実施され、翌2020年から全面的に始まるのが幼児教育・保育の無償化だ。0~2歳は世帯年収250万円未満の住民税非課税世帯に当面限られるが、3~5歳は世帯所得に関係なく、認可保育所や認定こども園、幼稚園の費用が無償化される。認可外保育所については、有識者会議を経て今夏までに結論が出る予定だ。
幼児教育の無償化は英国やフランスですでに実施されている。英国では3~4歳は無償で、5歳以上は義務教育になっている。フランスでは3~5歳児を対象とした幼稚園は99%が公立で、費用がかからない。
日本政府が無償化に動いた理由の一つには、幼児教育の重要性への認識がある。ノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授の研究によれば、将来の年収や学力の向上、生活保護受給率の低下などに最も投資効果が高いのが幼児教育だという。
ただし日本の未就学児の状況を見ると、保育園と幼稚園を合わせた就園率は3歳で約9割、4歳以上では95%を超える。3~5歳児の9割以上がすでに何らかの幼児教育を受けており、無償化による新たな需要喚起や教育効果は期待しにくい。むしろ幅広い層が恩恵を受けられる経済支援策という意味合いが強い。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら