日本学生支援機構の給付型奨学金制度が、この4月から本格的に始動した。同機構の奨学金はこれまで貸与型しかなく実質は教育ローンだった。そのため卒業後は数百万円に上る多額の返済に苦しむ利用者が少なくない。給付型の導入は、この問題を改善していく重要な一歩である。
しかしまだまだ課題は多い。対象となるのは、住民税非課税世帯の進学者で、給付規模は約2万人。住民税非課税世帯からの進学者(1学年約6万人)の3分の1にすぎない。2016年度における貸与型利用者の総数約132万人(無利子約48万人、有利子約84万人)と比べるとごく少数だ。
今や大学生の2人に1人が奨学金を利用しており、多くの世帯で教育費の負担が困難になっていることを見逃してはならない。ごく一部の貧困層のみを救うという視点だけでは奨学金問題の根本的な解決にはならない。
しかも給付額は月2万~4万円だ。私立大学の年間の平均授業料である約88万円(16年度)はおろか、国立大学の約54万円すら賄うことができない。学費の負担軽減や学生生活へのサポートのために十分な水準とはいえないだろう。
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