2018年には関連法が成立して、政府主導の「働き方改革」が本格スタートする見込みだ。その柱は「罰則付きの時間外労働上限規制」と「同一労働同一賃金の導入」である。これらは過去20年にわたり、手つかずだった問題だ。
進展する人口減少に対応して、女性や高齢者など多様な人材の能力を発揮させる環境整備こそ、残業削減を目指す本来の意義である。多様な属性の人々が働くようになれば、職務と勤務地が無限定で長時間労働が当たり前の日本型正社員以外の働き方が増えてくる。そのとき、それぞれに戦力として活躍してもらうには、就業形態や属性で差別しない同一労働同一賃金の発想は避けて通れなくなる。
このように見れば、政府が自賛するように働き方改革は「歴史的な大改革」であり、労使に任せていては解決されなかった問題に、解決の道筋を示したことは高く評価されてよい。
だが、まさに大改革であるがゆえに、あまりに急進的に行えば現場に大きな混乱が生じる。そうした意味では、具体的な残業規制の上限は、医学的に見た最低限であり、手本にされた欧州のケースに比べてマイルドな規制になる。同一労働同一賃金も、「仕事基準」の賃金制度を前提に形成された欧州のルールそのままではなく、「人基準」の賃金制度を許容したうえで正規・非正規間の不合理な処遇格差を是正するという日本型である。
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