2018年は日本銀行にとって大きな転換点になる。3月に岩田規久男・中曽宏両副総裁が、4月に黒田東彦総裁が任期満了を迎えるのだ。
13年4月に黒田氏が総裁に就任して以降、日銀は異次元の金融緩和を継続してきた。16年9月以降は、現行のYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)を導入、短期金利をマイナス0.1%にするとともに、国債の大規模購入により10年債利回りを0%近傍に誘導している。
足元の日本経済は、円安効果と順調な外需に支えられ、景気の拡大が続いている。一方で物価上昇率は0.8%(17年10月、生鮮食品を除く総合)と、目標とする2%には程遠く、金融緩和の出口はまだまだ見えていない。今後も2%の物価目標達成に向け、現状の枠組みを継続していくことになる。
しかし、その裏側では、異次元緩和の副作用も広がる。特に注目されるのが、黒田氏自らも指摘した金融機関への負担だ。
黒田氏は17年11月のスイス・チューリヒ大学での講演で「リバーサルレート」に言及した。金利がマイナス圏に沈んでいるために、貸出金利を下げざるをえず、銀行の収益は悪化する。これにより金融仲介機能が阻害され、かえって金融緩和の効果が阻害される可能性があるという理論だ。
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