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脱皮するTDK 儲かるスマホ部品を売り、センサーに注力

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テープ、HDDヘッド、リチウムポリマー電池。利益柱を入れ替え、脱皮することで成長してきたTDK。儲かるスマホ部品を手放し、次に狙うのは、現在赤字のセンサー事業だ。

(本誌:遠山綾乃)

写真:展示会のいちばん目立つ場所にセンサー製品を並べ、意気込みを見せる

10月初旬に千葉・幕張で行われた大規模展示会、「CEATEC(シーテック) JAPAN 2017」。電子部品大手のTDKはブースの最も目立つ位置をセンサー事業に充てた(上写真)。これこそ、TDKが次の成長柱として注力する事業だ。センサーは温度や圧力など周囲の状況を感知する部品。「世界ナンバーワンのセンサーソリューションプロバイダーとなることを目指す」。センサー事業のCEO(最高経営責任者)である齋藤昇常務は、5月の会社説明会で高らかに宣言した。

TDKは、電気が流れるものほぼすべてに搭載されるコンデンサーやインダクタといった部品をベースに、これまでカセットテープ、HDD(ハードディスク駆動装置)ヘッド、リチウムポリマー電池と、利益柱を入れ替えながら成長してきた。

1966年に国産初のカセットテープを発売すると、一般にも知名度が上昇。90年代半ば以降はパソコン市場の拡大に合わせてHDDヘッドが利益柱に。2005年には香港のリチウムポリマー電池会社・ATLを107億円で買収。スマートフォン(スマホ)向けが伸び、電池事業は全社利益の6割を稼ぐ柱に成長した。08年にはモバイル機器などに使われる高周波部品の独エプコスを1700億円で買収。こちらもスマホ市場の成長に伴い収益源に育った。

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