枝野幸男、前原誠司両氏による一騎打ちという形で民進党の代表選挙が行われている。この文章が活字になる頃には結果が明らかになっているので、どちらが新代表になるにせよ取り組むべき課題は何なのかを考えておきたい。
一騎打ちなので新聞、テレビは両候補の対立点ばかりをクローズアップした。しかし、今の民進党にとって政策面でも政治路線の面でも、選択の幅は大きくない。前原氏は持論の憲法9条見直しを封印して、安倍晋三首相のペースによる改憲論議に乗らないことを明らかにした。首相の9条改憲論は野党と憲法擁護陣営を分断するための政治的な仕掛けであり、野党がこれに距離を置くのは当然の政治判断である。
対立点らしきものは、野党協力への対応と消費税率引き上げのタイミングであった。前原氏は財政学者、井手英策氏の提言を採用し、消費税率引き上げと社会保障拡充の同時追求を主張している。枝野氏は中福祉中負担という社会像は共有するものの、消費税引き上げのタイミングは柔軟に判断すると主張した。前原氏は純粋な政策論を展開しているが、次の総選挙で安倍首相が2019年10月の消費税率引き上げの延期を再度打ち出して勝負を仕掛けたときに、予定どおりの増税を主張して戦いになるのか。この点については将来の方向性を確認しておくことで十分であり、具体的な実施のタイミングは自民党の出方を見て決めるしかない。
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