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米国が理性を失うとき 米ソ冷戦時代はクレージーだった

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終戦から72年が過ぎた。この夏、TBSテレビの特別番組の取材で米国ユタ州のセントジョージを訪ねた。モルモン教の印象的な教会が建つ、人口8万ほどのきれいな町が世界に知られるようになったのは、核実験による放射能被害のためだ。

広島、長崎に原爆を投下して第2次大戦に終止符を打った米国だが、核実験を終わらせることはなかった。ネバダ州の核実験場では、米国全体の9割に当たる約900回もの実験を重ねた。セントジョージは、実験場から東へ約200キロメートル。太平洋からの風は東に向かうことが多く、実験場から谷伝いに、セントジョージへ吹き抜ける。この町の住民はダウンウィンダーズ(風下の人々)と呼ばれていた。

地元の医師に話を聞いた。「この地域はモルモン教徒が多く、酒もたばこもやらない。彼らはストレスの低い生活を送っている。なのに、がんの死亡率が異常に高い。全米の平均が20%程度だった頃、この町では40〜45%だったという統計もある。放射能の影響は明らか」と話した。被害を訴える人々が連邦議会に対策を求め、医療費の助成などが実現したが、人々の不安や怒りが収まることはない。

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