中国で自動販売機が急速に普及、多機能化している。電子マネーでの決済はもちろん、広告・情報告知スペースの役割も担うなど進化が目覚ましい。
中国で自動販売機(自販機)の普及が加速している。背景にあるのはスマートフォン(以下スマホ)経由のデジタル決済技術の進化だ。機器のネットワーク化も進んでおり、「街頭のインターネット端末」としての機能も高まりつつある。
現在、中国に設置されている自販機は20万台程度とみられる。ここ数年、台数の増加ペースは加速しており、2013年の5万8000台から4年間で3倍以上に増えた。とはいえ、日本の自販機(両替機やコインロッカーなどのサービス機を除く)総数370万台と比べると、はるかに少ない。一気に日本並みとはいかないまでも、中国の自販機市場の成長余地が大きいことは間違いない。
そもそも中国でも1990年代には登場していた自販機の普及が遅れたのは、支払い手段の問題が大きかった。日本では硬貨の種類が豊富で広く流通し、日常的に誰もが一定量の硬貨を持っているのが普通だ。しかし中国では事実上、1元硬貨1種類しか流通しておらず、しかも北方では1元も紙幣の比率が高い。自販機の多くは紙幣も使えるが、中国のお札は汚れや損傷の激しいものが多く、目詰まりや判読不能での受け付け拒否が頻繁に発生、クレームが多かった。加えて紙幣で購入する客向けに大量の釣り銭が必要で、その対応も難しく、普及の足かせになっていた。
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