党指導部人事が注目される今年秋の「19大」に向け、3月の全人代は無風のまま閉幕した。ただ、習近平主席と李克強首相には微妙な距離間が見える。
今年3月の第12期全国人民代表大会は、焦点のぼやけた内容であった。
ここ数年、大きな会議の前後には息切れするほど多種多様な政策や法改正がこれ見よがしに出され、その一つひとつを理解することだけに苦労させられる印象だった。しかし、今回の大会ではなぜか現地メディアの報道も盛り上がりに欠けていた。
その答えは簡単だ。昨年10月の6中全会(中国共産党中央委員会第6回全体会議)で習近平指導部の前半戦はもはや総括し終えており、北京の関心はすっかり、この秋に予定される「19大」(中国共産党第19回全国代表大会)へと移ってしまっているからだ。
19大へ向けて習李の対立が鮮明に
19大はいうまでもなく5年に一度の共産党の大会で、その最大の焦点は党の上層部の人事だ。政治局常務委員をはじめ多くの幹部が入れ替わることが予測されているが、なかでも注目は「ポスト習近平」の顔ぶれが出そろうことだ。
人事が大きく動く年には権力闘争が激化する──。日本のメディアで頻出する表現だが、実際に争いがすぐ起きるかどうかは別となる。というのも筆者の経験上、闘争はたいてい人事が動いた後に起きる(たとえば江沢民vs.陳希同・元北京市書記、胡錦濤vs.陳良宇・元上海市書記、習近平vs.薄熙来・元重慶市書記)からだ。ただ、この時期に北京が落ち着かなくなるのは恒例である。
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