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知将の誤算<後編> 異次元緩和の挑戦 人物ルポ 日銀総裁・黒田東彦

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自身が蓄えてきた叡智を結集した「異次元緩和」の挑戦は、誤算の連続だった。そして、孤高の知将は何を思うか。

(本誌:西澤佑介)
(写真:数多くの「想定外」に見舞われても、物価上昇率2%目標への執心は変わらない)

[ポイント1]
2013年4月、日銀総裁となった黒田の異次元緩和が始まった。デフレ脱却の挑戦において、難所は人々の予想インフレ率の引き上げが起こるかどうかだ

[ポイント2]
初めの1年は順調だった。だが、資源価格急落が始まってからは2%目標達成時期の延期を繰り返し、ついに自身の任期中に達成できないことを明かした

[ポイント3]
しかし黒田はいまだ敗北を認めない。「主知の人」は、自らの知の蓄積を総動員した挑戦が、人生で最大の誤算となったことを認められないのではないか

 

2013年4月3~4日。黒田東彦(はるひこ)が日本銀行総裁に就任して1回目となる金融政策決定会合が開かれた。

議事に臨んだ黒田の様子は、決意とは裏腹に実に落ち着いていたと審議委員の一人は言う。気負いや緊張は見えず、時に朗らかな笑みすらこぼした。そんな雰囲気は、あのような政策が打ち出されたことの突飛さを際立たせたに違いない。

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