左官 挾土秀平 左官の仕事は総合演出、枠に囚われない自由人
土壁を作るだけが左官の仕事ではない。既成概念をぶち壊す作品や空間演出で、世間をあっといわせてきた。飛騨の匠の技は、どこまでも自由だ。
[ポイント1]
「土のソムリエ」の異名を持つ左官・挾土秀平は岐阜・高山で左官業・挾土組の長男に生まれた。合板とクロスが全盛の現代、左官は今や絶滅に瀕している
[ポイント2]
「これからは空間的プレゼンテーションが必要」と語る挾土だが、セメント仕事ばかりの家業・挾土組とは方向性がずれ、「職人社 秀平組」を立ち上げる
[ポイント3]
「俺の壁は詩であり小説」というその腕が東京で認められる。バーやホテルの空間から果てはNHK「真田丸」の題字まで、活躍の場は壁に収まり切らない
白い壁で囲まれた部屋に深緑色のひじ掛けいすが8脚、壁面には黒光りする暖炉、その上には見事なマントルピースがある。まるで貴族の館の応接室だ。
「全部ぴんぴんの職人仕事で仕上げたものばかりよ。これは砂壁だし、床は寄せ木細工、カーテンレールは真ちゅうのろう付け、建具は春慶塗(しゅんけいぬ)り、ここは漆喰(しっくい)の黒磨きだ」
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