ウエカツ水産代表、魚の伝道師 上田勝彦 「魚のよろず相談承ります」異色の元官僚は全力疾走
風貌からして独特だ。水産庁キャリア職員は昨年役所を辞し、全国の漁協や消費の現場を飛び回る。突き動かすのは漁業衰退への危機感だ。
国的に厳しい寒波に見舞われた2月下旬のある日、日本海沿岸の街・新潟の柏崎にも冷たい雪がちらついていた。
昼の時間帯ではあるものの、駅前から続くアーケードに人影はあまり見られない。だが、そこから少し離れた産業文化会館の3階のホールには、漁師、仲買人、スーパーや料理店関係者など、漁業生産者から消費者まで、300人近くの人々がすでに集まっていた。
この日は「生け締め」の実演も同時に開かれるため、壇上に立つ上田勝彦(うえだ・かつひこ)は長靴に黒いフリースの上着という姿。取った魚の神経を素早く切って血抜きする生け締めをしておけば、魚は鮮度を保つことができる。上田のいでたちは、漁師か魚市場の関係者のようで、一目見ただけではこの日の講師とは誰も思わなかっただろう。
「昔だったら、漁師は『俺らは取ってくるのが商売だ』と言っていればよかったかもしれない。しかし、日本全体で見たとき、それではもたなくなっている現状があります。すべての人たちが、魚の現状をめぐる生産と消費がどういう状況にあるか、知っておく必要があるんです」
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